十人十役 2024
2024年の歌舞伎 …動静表(歌舞伎俳優出演劇場一覧)のクリーム色とお子さん方と部屋子(水色)から10人10役、緑色と白から10人10役の計20人20役。
#去年、この人はどっちに入れればええんやーって迷ったので、動静表に頼ることにしました。
代役の報せが目立った年でした
偶々見たのが梅玉の代役にたった松也の義経、
吉弥の代役で折乃助の演じた源氏物語の女房中将、
テレビでしたが愛之助から配役変更にて壱太郎の大津絵道成寺。
急に言われてできるのほんと偉い。
観られませんでしたが、歌六の代役で八潮をつとめた芝のぶも大きな話題になっていました。
勘九郎の代役で七之助が弁慶(びっくり)
大ちゃん、團子ちゃん、勘太郎くんもありましたかね。若い子は無念だろうけど次があるよと思える。
ベテランだと一過性のことでありますようにと祈るような気持ちで、でも代役も見たいなという不謹慎な欲も湧いてきます。
愛之助丈の怪我は心配。スターがこんなに大けがする業界ってある?と思わなくもない。ご安全に。
※吉弥と書くべき所、吉之丞と書いていました。申し訳ありません。訂正しました。
上演順。文中の「今年」は2024年。
クリーム色と水色の枠
10役は、7役くらいまではすんなり選べましたが残りを選ぶのに迷いました。あれも良かったこれもよかったではなく、決め手に欠けて。
松也 魚屋宗五郎(浅草 魚屋宗五郎)
ライと迷う。が、歌舞伎座で見られたらの願いをこめて。
いかに周りを芝居上手でかためたとて、主役がそこに噛み合わなければ成り立たない芝居です。チームで作る宗五郎を見せてもらいました。
もう一役の蝙蝠安の苦戦っぷりに比べると、道の開け方が早かったです。
歌昇 熊谷直実(浅草 熊谷陣屋)
若さの作るものなのか、見ているこちらに力が入ってしまうような熊谷でした。こんな熱情の芝居をする人だったんだ。
どんつくの太神楽も捨てがたい。
仁左衛門 御浜御殿 綱豊卿
思い出すのは突き進んでくる富森助右衛門(幸四郎)のほうだけど、それを引き出すのは仁左衛門で、観ることが叶って良かった。同じ時代に存在する仕合わせ。
愛之助 団七九郎兵衛(4月 夏祭浪花鑑)
浪花の団七。
音と絵のシンクロがこの年いちばん印象に残った役。極まった形が美しく、胸にくる。
早く怪我が治りますように。
左近 四季(冬)の真ん中の美少女(役名:木の葉)
役名がわからなくて調べましたわw
大運動会の中輝くような美少女がいて、え?だれ?もしかして左近?左近か?って、私が騒然となった案件。
動くと輝くタイプかな。
これが玉三郎の目に留まらなかったら妹背山の雛鳥への抜擢もなかったかもしれない
(新)時蔵 お三輪(6月 妹背山)
花道から舞台に向き返った形相の凄まじさ。
襟に流れた白粉、感情でぐじゃぐじゃになったお三輪。
普段のクールな雰囲気から踏み出した芝居でした。
“朧"のツナの激情にも通じるものがあるかと。
菊之助 俊寛(10月 俊寛)
今年続けて手がけていた吉右衛門的な役のなかではこれ
菊之助の本来の役割と思われる政岡か玉手を選びたかったのですが面白かったのはこっち
(菊之助は)今はやりたい役をやっているがこれからはお客様を楽しませることを、と菊五郎がインタビューで語ってました
そうだろうなあ、やっておきたい役をやってるのだろうなあと今年は特に思った
でも襲名から少しの間はやりたい役でなくやるべき役をやらざるを得ないだろうから今のうちにということですかね
彦三郎 団七九郎兵衛(9月 夏祭浪花鑑)
声のでかい気のいいおにいさんの転落。愛之助のを観ていたから彦三郎のを全く違うものとして評価できる、と思う。
不自由な新国立劇場の使い方に道を拓いたのも功。
染五郎 シュテン(朧の森に棲む鬼)
この歳でここまでの存在感があるとは。場数もさることながら、きっと演出を意図通りに打ち返せていたのでしょう。新感線への適性?。
ほか裏表太閤記はよかったな。役によってぐっと太くなる。源氏物語ではウソみたいに味が薄かったです。やっぱ武の人かな。
幸四郎 ライ(朧の森に棲む鬼)
この人がこれで名を残すことは間違いない。
今回もわけがわからんまま沼に放り込まれた客が沢山いるであろう。
免疫があってよかった
幸四郎ライと松也ライ、愛之助団七と彦三郎団七の構図は似てるかもしれないですね。
典型に対して、こうした人物のストーリーを感じる造形もありかもしれない、これも好きと思わせるような仕上げ方。アナザーライ、アナザー団七。
菊之助俊寛もそうかもしれない。
花形を脱しつつある音羽屋チルドレンのフィールド外へのチャレンジがこんなふうになるのは意外で面白いです。
緑と白の枠
…10役難しい
新十郎 舞台番新吉(幡随長兵衛)
客席が劇中芝居の芝居小屋になってしまう非常にメタなシーンでお客様と芝居を結びつける役。江戸の風情で良かった。
やゑ亮 力者(6月 妹背山)
鱶七にかかっていく役。通称「ちゃちゃらか」だそうですが、なんでそんな名前なんだか。この人が教えてくれなかったら一生知らなかったかもしれない。長袴での返り落ちの練習動画が上がっていましたが最初から出来るわけじゃないんですね。
國矢 名古屋山三(巡業 鞘當)
この名前の方(緑枠時代)で1役挙げておきたく。不破伴左衛門は獅一だったんですけど、やはり山三に一日の長ありでした。
吉兵衛 浮世又平(稚魚の会 傾城反魂香)
この役の哀しみを絞り出すような熱演でした。
咲十郎 声色屋ろ孝(婦系図)
橘屋の声色がそれらしくて。
? 蛙ちゃん(ようこそ歌舞伎座へ)
どなたかわかりませんが動物代表で。沢山いる動物の中でかぱーと開けた口の愛嬌がいちばんでした。ねずみちゃんと組んでの鳥獣戯画ごっこも笑えた。
梅乃 ウケ(朧の森に棲む鬼)
ラジョウ女子の中ではいちばん好きかな
千壽 おクマ(朧の森に棲む鬼)
「かかあとマンマ食って寝る。それが人生だ。」の説得力たるや。
まつ虫 落武者狩(朧の森に棲む鬼)
最後の本水でライと泉水の立ち回りをやって、トンボ返って、回し蹴りでお客さんに水しぶきサービスまでする人。基本新感線のタテの中で、歌舞伎の爪痕を残してました。
血人形の箱を背負ってる人といい、実はライを窮地に陥入れる担当
菊三呂 フエ(朧の森に棲む鬼)
ラジョウの屋台の女性。どう見てもインコかオウムなのに名前がキュウちゃんな鳥の飼い主らしいです。
キラキラの衣裳に、バチバチのまつげ。
どっから持ってきたんだその濃いおばさん成分。(よく考えたら菊五郎ゆずりですね)
見せ場も沢山あって生き生きしてました。
つづいて、2024年に見たものを挙げようと思います。つづーく。
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