刀剣乱舞歌舞伎 もうひとかぶ

2024年4月8日歌舞伎

4回見ました 3回の筈だったんだが
千穐楽の配信は迷っている
同じくらい劇場で見たFFの映像はいずれ必ず見ようと思ってるのに
こちらはなんだか上書きされたくないような気持ちがある
見たいけど、その一回が決定版・正解になってしまうのはいややな
歴史は変わらないかもしれないけど
舞台上の芝居は変容し進化する
千穐楽ですら終着点とは限らないのだもの
(とか言いつつ買うでしょうな)

なお1回目はこちら

もうひとつのこぼれ種 新橋に開く双葉 ~刀剣乱舞歌舞伎を観てきました~

以下、そこで書けてなかったこととか、おかわりで気付いたこととか、ぽつぽつ書いてみます。

一階三列目中央、まんなか、花横中程、二階右角

三列目中央

久しぶりに三列目で見ましたが、こういう全方位型の芝居はここでは把握できんw
でも、演出による驚きがいちばん享受できた席かな

まんなか

普通(贅沢なことをいう奴)
ここも普段取れる席ではないんだがたまたま空いていた
ぎりぎり舞台と花道が両方視界に入った
少し世界がわかってきたぞ
…って、前も書いたよな 完全にFFXの轍を踏んでいるじゃないか

花横

さすが。ひと席選べと言われればここかな
この席が私が買うまで空いてることは殆どない。
松永親子の抱き柏の紋とか、弾正さんの鞘とか、こんなのが見えるんだねーと景色の違いに感心しました

追記:抱き柏だと思ったけど抱き若松かもしれない。なんで抱き柏?って理由がわからないままだった。弾正さんの紋も二人の役者さんの紋も違う。抱き若松ならわかる。松也さんの紋だ。| 追記の追記:シネマで見たらやっぱり抱き柏だった。振り出しに戻ったw なんで?

二階右角

バランス良し。見たかった所が見えた。よし。ここは結構いいんだよね。
音もいい感じ(ポリ袋シャカシャカお嬢さんが後ろにいたのを除けばな。)
(あと、同田貫さんの終演アナウンスの最中に絶叫しているお嬢さんがいた。
せめて終わってからにしようじゃあないかい。)

謡曲 土蜘蛛

最初の最初の所のコーラス部分が土蜘蛛だと
これは多くの方が書かれてたので2回目のときになるほどーと思った部分
純邦楽や能や色々の芸能に馴染まれた方が気づきを書いておられるのが勉強になります
こういう作品はガイドの後聞きほしいなあ
観劇中は耳から複数情報が入ってくるのがつらくなってしまうので、基本借りないんだけども、解説が欲しくないわけではない

仕込み杖

3回目にして気づいた。これ見えるかどうか角度によるねー。
注連縄を切るときにじじばばが杖の上部をスッと抜くと短刀になっている
この後若返って杖使わないから、これ切るためだけに仕込み杖2本作ったってことよね

で、せっかくの仕込み杖じゃなく何で戦うのかというと
正体を現したおじじは自撮り棒(ではない鉄杖)2本
おばばは晒し風のヒラヒラで。
(近江のお兼のやつの黒くて透け感あるやつ)
FFXのルールーもシュレッダーにかけた晒しみたいな新兵器を使ってましたけど、物理じゃないチカラを現す女性用の武器ってなかなかないので、晒しは定番になるかもしれんね
土蜘蛛コンセプトなので、蜘蛛の糸も出ますが、後見の方が投げて、床の上でくるくる巻いてかき集めて片付けてるのがわたあめ作ってるみたいだね。

じじばばはカーテンコールでこんなに離ればなれなのだ。 くっつけてあげようよ

小狐丸さん、手櫛かと思いきや櫛で毛並みを整えてるのね
鼈甲かなあ。オサレさんだな

白拍子 薙刀

二階に時間遡行軍の薙刀が来て衣装を把握
一階最前列にも来るんだけど、二階の方が見えやすい
衣装は白拍子風ですが白黒の白拍子は初めて
かこいいね

太刀は置けないんだね

菊幢丸の元へ、使いとしてやってくる弾正のところ。
居並ぶ刀剣男士(太刀のひと)はすべて太刀をおびたまま。提げてるから外せないだな

同田貫は刀を左に置いている。抜けるということ。
弾正は右に。(こちらがふつう)
仕えるものとそうでないものと。立場の違いでしょうかね。

二階の視点

刀工が槌を下ろす先の円盤
これは一階だと見えない
二階で上からだと見える
こうやって鳴らしてるのかあ
早替わりは一階で見た時の方が、ふぁっ?ってなったな。死角が仕事する奴だからな。

また、光の具合で見えてはならんものが見えたりもするので難儀なとこですが
見えないよ?黒いものは見えない。それが私が最初に鑑賞教室で亀寿(当時)から教えてもらったお約束だ

舞台の上の段は二階の方が見えますね
花の宴で兄妹で踊る時、一階だと腰元に目がいく
二階から見たとき初めて上様がこんなにも病いでふらふらな芝居をしてたと気づいた
自分案外見えてないのねえ

そもそもダメ押しの二階を取ったのは、岩山の上での立ち回りをちゃんと見たかったからなのだが
二階でもこの高さか、もう一段高い視点からでも見たかった
と、思いつつ
時々双眼鏡を構えてがっつり観ましたが
新橋舞台近いな。立ち回りを見るには8×21はデカすぎた
もうちょい倍率低い奴がいるのかなあ

刀剣の舞

三日月の舞だけ歌詞が盛りだくさん
干将莫耶の剣(これは勧進帳に出てくるので、お?と思う)、草薙、天下五剣の名を挙げてからそこに並ぶ三日月宗近だよって紹介。「そうさ、その五人男の切れっ端さ」を思わせる。
この饒舌さに比べ、膝丸は踊りは割と長いのに、歌詞はちょっとしかない。膝丸!までの貯めの長さったら。
小烏丸は、神楽になぞらえたと思われる、橘の枝を持った舞で、女性の歌声。(かと思ったらすぐ尺八を吹いてるマルチプレイヤー振りにビビる)。
同田貫は配役が大ちゃん合わせだと言ってたけど、この舞も天王寺屋合わせなんだろうなあと思う。富十郎さんがぱぁっと浮かんできて、ああ、大ちゃんで見たいよなあって。
歌舞伎ってこういうことがあるから困るよね
あれ、饒舌なのは、松也あわせ?w

みやこなんだよ

都大路を軍勢が進み、弾正は二条を指して出陣する
ああ、そうか、みやこだったんだ、と思う
私のイマジナリー都大路はきっと本物からは程遠い
それでも何か見える気がして、私はあの御注進と幕切れの語りが好きだ

ただひとたび

やっと音楽にまで注意が向かうようになりました
これも席によって聞こえ方が違いますね
二階が良かったかな
最初と最後の鍛冶場の音も呼吸するようでいい感じだったな

小狐丸の曲が、満を持して出てくる感じで好き
三日月宗近のテーマ楽器の二十五絃の箏はすごくドラマチックな音がする
いくつもの心が重なり揺れる感じ
三日月宗近全般が三拍子曲をスペイン風に寄せた感じになっていて
男士達とわざわい(禍獣)との戦いもスペイン風
たぶん三日月の曲がなかったらこうはなってないんだな

最後の立ち回りの五拍子の混ざる変拍子は行きつ戻りつする2人の心のよう。

納得して死ぬだけなら戦わなくてもいいんですよ?
自刃でいいわけじゃん
でもそこは踊らなくちゃいけなかったんだよな
最後の最後に許された、ただひとたびのラストダンスだもの

松也Pのインタビューで三日月宗近と足利義輝の「愛の物語」て言っちゃってたし(普通その言い方はしねえ)その意図は元々あったんでしょうが
前より長くくっついてませんかきみたち
上様の方の心が変わったのかな
前はちょっと運命を拒否してたと思うんだね
いまは刺されタイムの間最大限ぴとっとしてるよね
そうしてる間だけ寄り添える
遂げたくない想いよなあ

“私があなたの運命です"みたいに迫ってくる神様的なもの、いやよね
急に来て将軍になるべき自分の運命の歯車を回して、手元におきたいと思えど叶わず、最後正気に戻った所で手を広げて死の宣告をしに迫ってくる
ひどい話じゃないですか
このひとがいてくれたら自分はあの頃のままいられたのかもしれないと思わせてくれる存在だったんですよ
それが、ずっといたのに
いままで何も言わんと
こんなときに
(こともあろうに刺しながら)伝えてくるやつですよ
それをよく、そんな、ういやつ、みたいな顔で見られるものだよ ねえ

家話の配信で、松也が最終稽古のときにいろんなことが込み上げて赤ちゃんのように泣いた(右近ももらい泣きして2人で泣きながら立ち回りしてたそうだ)という話の中で
自分に甘えてきた"けんすけ"だった小さな頃から知ってる右近のことが去来したというようなことを言ってました

それがこうなるまでひと月、毎日毎日ダンスと別れを繰り返した2人
いまは見交わす瞳に何が去来しているのだろうね

セカイの約束

刀と主人だったら「当然」親子か男女か塩冶判官と力弥並みの(意見には個人差があります)深い愛情があるはずという前提が普通はないと思う
それを持ち込むとがぜん話がわかる
それがないと、親が子の首を主筋の身代わりにする悲劇やら子が先立つ悲劇を、親と子なら当然愛情はあるはずという前提なしで見るようなもので、わからない
だからこの筋はおそらくその論理を当たり前に持っているかどうかで評価が変わるんではないかと思う。

まあ、私はわからないほう、だったんです、白状します。それもまた作品を見るために素地がいるという話なのでしょう。セカイの約束ってことだよ。

仕方ないんで、松也は芝居でガンガン殴ってくることにしたんやな。こういうことだよ。見えるようにしてやったからな。わかれよ。

おっ。おぅ。わかった。「よしてるさま」「ういやつ」これでいい?「むねちか 来や」これでいいんか?受け取れてるか?(ちょっと心配)

刀剣乱舞の「世界」が定着するにはもう2,3作要るかしら。やがては世界のないまぜも起こったりするのかしら。

まだ見ない未来。松也…私が生きてるうちにたのむね。

歌舞伎

Posted by kikuyamaru