2023に観たもの(ほぼ歌舞伎)

2024年1月5日歌舞伎

もし、歌舞伎という地層があったなら
この年はいったい何があったのだ?という痕跡が残る年だったと思う
地軸が動いている
良いことも眉の曇るようなこともあったが、たぶん、初めて歌舞伎を見た人の数を集計したら、今年は際立っているだろう

先日出版された菊五郎の聞き書きを読んだ。
六代目が亡くなったとき
物干し台での会議の「伝説」は読んだことがある。
しかしもっと昔の話と思っていた。
昭和24年は私にとっては父母のこども時代。
既に当代の菊五郎は物心ついている。
菊五郎劇団ができたのはそんな新しいことだったのかと初めて認識した。
座頭が亡くなった後どうするのかを若い役者が懸命に考えて劇団を立ち上げ新作を作りながら進んできた姿を想像すると
(見たことないからわかりませんけど)
いま歌舞伎全体に起こっていることと重ね合わせてしまう

上の方がひとりふたりと舞台から見えなくなっていくのは仕方ないのだけど、その一世代下ががらんと空く。わかってたけどそろそろそれがやってくる。
いまその下の若旦那たち…若旦那じゃない人も…の、試みに次ぐ試みで、見てるこっちが目まぐるしさに圧倒されている。
それはどこかひとつの家の手柄ではなく同時多発的に起こっている。

そうしなければ生きられない危機でもあり、古い呪縛が弱まりつつあるときでもあり
やっと芝居ができるようになった勢いもあり
みんながやるし松竹も仕掛けるから異色作やら勉強だらけになってて、そろそろ古典が見たい。
ということで浅草は楽しみだ。次の一歩。
(次といえば国立劇場は建て直せるのか。心配すぎる)

若旦那がと書いたが、若旦那達が動けば道がつくのが早い
古き力も使いよう
新しい当たり前を作るためにいまはその力が要ると思う
できればお健やかに、お休みもとりつつ、十年後の夢をチラ見せしてほしい

今年、人生で初めて全月歌舞伎を観ました
ふつう、この月はいいかなぁって月があるものなんですが
あー、観とかなきゃいけないかなあが重なってこの始末です
あととりあえず松也を追ってみた。
来年は節約する(フラグ)。

みたもの

見たものを、割と音羽屋贔屓目線にて。
筆の走るまま書いてるので思わぬネタバレがあるかもしれない。ご容赦ください。
あと、ながーいよ。

目次

1月

いつもの国立で最後のお正月歌舞伎。確かお獅子はいた。手ぬぐい撒きはなし。(※あったらしい。記憶いい加減すぎる。)

最後というのは、10月で閉場がきまっているため。
毎年何観たのか1年後にはさっぱり覚えてないけど楽しかった上澄みだけが残る。今年は遠山の金さん。また芝居ができるようになってよかったねっていう話だったはず。10月に菊五郎旦那のお出ましがなかったので、本当に国立での見納めになってしまった。
浅草はまだコロナの余波があり、1部隼人組、2部松也組とかっちり分けた座組。2部だけ観た。高速ぶん回し連獅子だった。そういう演目じゃないと思う。思い出しても笑える。
歌舞伎座も3部制のままだ。1部を見た。愛之助の弁天小僧。男になった時の凄みが違う。お嬢様もきっちりで思いがけず良かった。これがまさか年末に別の白浪になるとは知る由もない。

2月

歌舞伎座、三人吉三と霊験亀山鉾
亀山良かったなー。ご機嫌な演目だった。
悪と小悪党と。丸に二の字の下座も楽しげ。仁左さんの歌舞伎は仁左さんのもので、継ぐ人がいてもそれはまた別のものになるだろう。
船弁慶は必ず寝るので避けてしまった。後悔。

新しい梅安の映画を見た。どうしても愛之助・彦さんを泊まっていかせたいトヨエツ梅安の話。
それと、マルコポーロの冒険のアーカイブス番組公開収録を見に。放送を残すことに価値があると思われなかった時代があった。
今に置き換えると、20年くらい前のWEB上の情報がそうかもしれない。どれだけ残っているか。残そうと思わなければ残らない。

3月

花の御所始末 人を信じていない主人公を演るには幸四郎の雰囲気は優しい。海老蔵…じゃないや團十郎だったらもしやしっくりきたかも。
玉三郎の髑髏尼は福之助くんやるなあというのを発見したけどもどうにも救われない結末で、同月にこの陰惨演目を並べる趣味ってどうなのか。
愛・玉で廓文章は仁左衛門の影に邪魔される。
かわいかったもんねえ。

そして今年のチケ代に於ける第一の戦犯(←言い方)FFX歌舞伎。
特に松也シーモア。当たり役でいいでしょこれは。
それとオオアカ屋で萬太郎を再発見した。達者だ。
歌舞伎なのに、「ユウナがいた」「ワッカそのもの」と言われる再現性の不思議さ。
菊之助(つまりオタクということらしい)がそれを好きな人の思いまで理解して作ろうとして要求し、役者が最大限に応えたことを評価されるのは嬉しい。「寄せた」ことだけを評価されるのは少し悔しい。

4月

引き続きFFX。
大掛かりに時間をかけて緻密に作り上げたクロスオーバー新作歌舞伎の現時点でひとつの頂点だと思う。
だがステアラ以外に持っていけば魔法の三分の一くらいは解ける気がする。

歌舞伎座はこの月から元の昼夜二部運行に戻る。大向こう解禁。
新・陰陽師。十年前とは全く違う演目だった。あの時は花形を集めたのに溶け合わず。今回はそうではなくて楽しめたものの、「陰陽師」の世界を作りたい意図は感じなかった。導入の場面はよかったな。その筋があっても、残っているのは古典歌舞伎織り込み大会プラス宙乗りの印象で、陰陽師じゃなくてもよかったんじゃないかな。
鷹之資が水際だった素早さで、2月に船弁慶を見なかったことを後悔するなど。

5月

團菊祭、昼夜。昼は菊五郎と先代の團十郎が揃っていた頃を懐かしむ。ここに左團次がいない。チラシの上の方の拵えの写真の中に松也が入った。
対面。松也の五郎が以前より独特になってる。現代の人に伝わる怒りを表出していた。(まあ変なんだけど)
右近と役チェンジしてみたらどうだろ。
眞秀初舞台。音羽屋に歌舞伎の大好きな子が二人いるのはいいことだと思うと寺島しのぶが語っていた。そう思う。丑之助のようにこの子役者人生2周目ではというびっくり人間の片鱗は眞秀からは感じなかった(ごめん)。けど、菊之助、丑之助にない明るい雰囲気がある。それが伸びたらいいな。シャネルの祝幕から丸い布がちらほら落ちていた。ふふ。
菊五郎が出ていたけども立ち上がっている間の震えが見えて、厳しそうだった。後で明らかになったが脊柱管狭窄とのこと。それでも立ち姿を見せるという意地を見た。
若き日の信長。ずっと(新)團十郎を見ていなかった。上手くなっていた。当たり前か。
夜は達陀と髪結新三。達陀は見ておかないといけない奴なので。松緑が家話で、達陀を見た團十郎のことを話していた。この配信は他で漏らさないことになってるのでなかみは書けないんだけど部活のOBのよう(笑)
橘太郎が出ており、最多出場だと思う。すごい。
菊之助の髪結新三は、未来の一座を占う座組で、勝奴に菊次を抜擢。弟分だけど一目置かれそうな相棒だった。蔦之助抜擢も嬉しいが私は前説要らない派。やるなら口上のていのほうが良かった。

歌舞伎夜話SPの公開配信があったので観に行った。
松也と柿澤勇人。柿澤くん清元の家の人なのかと初めて知る。
刀剣乱舞歌舞伎の方向性がまだわからなかった所に、バリバリの古典にするとの松也Pからの発言があってほっとした。松也なら普通の歌舞伎のほうに行くでしょ?と思いつつ、団扇とペンライトの世界の可能性も覚悟せねばならぬかと微かに思っていたので。

国立劇場で前進座、魚屋宗五郎。酒乱こわい。
後のほうも前進座で見てみたいが前進座の考えでは最後の殿様とのあれこれはやらないんですって。私はあの理不尽を理不尽だなと思いながら見るのも現代の魚宗の一部と思ってる。
明治座 代役隼人のほうで御贔屓繋馬
女童は激しく似合わないと思ったがそう言ってられる場合でもなかった。
色々とまさかのことが起こっていた。

6月

菊五郎と左團次のはずだった夕顔棚は実現かなわず。夜、仁左衛門で木の実からすし屋を観る。
去年見たのと比べてしまう。小金吾が違いすぎて。
昨年の萬太郎は強かった。まだいけるまだ立てる。だがいかに超人でも不死身ではない口惜しさ。一方今度の千之助は最初から消耗して出てくる。もう何人かとやり合ってるのだろう。大丈夫か小金吾。まだいっぱい敵がいるのに。もつのか。
ここはもう一人別の人で見たい。サードオピニオンだ。
四の切は松緑。狐、声が大変そうだった。

7月

刀剣乱舞歌舞伎。松也初演出。細かい感想は当時書いているので略。
歌舞伎を観る人の感想が「歌舞伎じゃん」だったのがおかしい。
FFXやワンピースは元のストーリーを歌舞伎を使って表現した。
刀剣乱舞はストーリーがない。ないから作るが、歌舞伎の世界に刀剣男士を潜り込ませたような作りだ。
昔の言葉や唄の難しさに比べれば馴染みやすくしてある。音楽も古典の黒御簾の音楽より新作のほうが印象に残る。なのに古典を見たように思わせる。それも特定の古典作品を切り取って元ネタがわかるからではない。新しい幕とセリフを作ってそうなっている。
で、ケレンはないけど面白かったとか言われる。
えっ?いつ変わったの? え?歌舞伎でそんなアクションやるの?と仕掛けてあるものは、昔ならケレンと呼ばれたものだろう。そういう演出は相当量あるのに、現代のお客さんにはケレンと認識されてない。宣言してそこをショーにするようなものでなく話の中に仕込んである。
TVドラマやミュージカルもやる一方、古典は…と言われることも正直あったのが松也で、風変わりなものをうち出せば異端が何かやってるだけと見られる危険性もあったと思う。
彼のアンサーは、「歌舞伎じゃん」という感想を引き出す歌舞伎だった。

神谷町小歌舞伎
橋之助ご兄弟&一門でやりたいことをやってみた会。いまだに、くにおとかむねおとか思ってごめんなさい。
歌ちゃんの弁天小僧は町娘のようで楽しげだった。流石にできてないとこもあったけど、何十回やったかわからない人たちと比べたらいけないね。(てか、若い人たちの弁天を見ると、あの芝居ってできないものなんだなと気付かされる。)
福・南郷はきっちりで良き。
橋吾さん番頭はあまりよくなくて、高坏の方が良かった。それも、生世話の芝居って難しいんだなと思わせる。
おにいちゃんは、えっと。ふつう。
去年の新選組のときも美しかったしワッカがあれだけうまかったんだから、ニンにあえば輝くはずなんや。たぶん。

8月

さいたまで歌舞伎舞踊特別公演。
完全にFFXと刀剣の余波で観に行く。
が、やっぱおじさまたちの揺るぎない力を感じる。
イヤホンガイド無料でよかった
三番叟の千歳で女形の鷹之資。珍しい。
汐汲は右近と鷹之資で、女が狐になる不思議バージョン
ところで最近、汐汲と釣り女多くない?

もひとつ刀剣の余波で国立劇場で舞踊(小鍛冶など)を見ていた日、タクシーが劇場付属の喫茶コーナーにガラス割って突っ込むという珍事がありました
ゆくゆく壊すからって先に壊さないでっ。
どうするんだろ?と思ったら翌月翌々月と妹背山婦女庭訓の舞台美術を描いた大きなパネルで隠されてフォトスポットになってた
アイディア出した人ぐっじょぶ。

歌舞伎座は新門辰五郎と新水滸伝を見た。
新門辰五郎は筋が見えづらい。こういうのにこそ前説が要ると思うんだけど。
配役が合えば嫌いなテイストではないが、勘九郎が溶け合わなくてなんとも。歌六だけ歌舞伎だった。新悟がいい女房役に育ってきた。
新水滸伝は、この過渡期を見とかなきゃいけないのかなと思って行きました。けど、私はやっぱりこっち系はあまり得意でないようだ。
そこで浅香光代みたいだなーと思って見てた笑三郎がのちに次元になるとは知る由もなかった。
(浅香光代の若い頃の写真は大変美人さんで、動くとこを見てみたかった。無理なのだが)
隼人の殺陣は速かったな。

9月

国立劇場ラスト二ヶ月の妹背山婦女庭訓の前編。この月は時蔵の定高がトップ。現役存命で過去に定高をやったことがあるのは玉三郎のみ。と聞くといまの状況って思ったよりピンチじゃないですか。
團十郎の襲名巡業がおわってないこともあり二ヶ月とも沢山の場所で歌舞伎がかかっており、ちょうど良い立役はいない。かくして大判事を松緑がつとめる。描きすぎですよ、しわ。
両花道の演目で、川が流れていて、雛道具が流れていく。これを観たことは覚えておきたい。

スリルミー
松也、廣瀬組にて。
この心情はわからん。廣瀬彼、こわすぎない?松也私、あの人が好きなの?
松也は四十代の「私」と若き日の「私」の行き来を自然にやっていた
ようこんな大量の台詞覚えよる
小さな舞台の作品で見ると、歌舞伎でも感情を出して良いタイプの演目で観たいと思う

歌舞伎座、夜。一本刀土俵入。(他も見たがあまり印象ない)
幸四郎が変身前後で同じ人に見えないので前の人と後の人で相談していい感じにしてほしい(←ひとりです)
すれっからしの雀右衛門ねえさんがなんだか胸に残った

#調べたら金閣寺を幕見してた。児太郎の回。桜の花びらをきれいに裾で掃除していくなーと眺めていたら、後で立ち回りがしやすいようにしてるとコタさんが言ってました。やっぱ掃除してたのか。

10月

翔之會。大ちゃん(鷹之資)のとこの自主公演。
富十郎さんがスクリーンに大写しになりインタビューの様子が流れた。自分に伝わったことを先の世代へと、こうして皆伝えてきたのだろう。二人椀久は目まぐるしかった。歳がいったらどんな踊り方になるのだろう。

歌舞伎座は昼夜観た。獅童と寺島しのぶの文七元結物語は、山田洋次演出で、こどもの絵に手直しをされて大人がいいと思う絵に描き直されたような感覚。元のが好きなので複雑。
わざわざこの演目で違う脚本演出じゃなくて良かったでしょう?ドキュメンタリーを見たら二人とも苦労してたやんな。
他の演目で良かったのは角力場の与五郎と放駒。巳之助で二役。みっくん若旦那かわいいな。獅童の濡髪も良かったし。
水戸黄門は時代劇だった。こっちに寺島しのぶが出てもおかしくないと思った。

国立劇場のラスト演目は妹背山婦女庭訓の後半。今度は菊之助が国立で松緑が歌舞伎座。
一緒に出てほしかった。
菊五郎が体調悪く出られないことは直前に公表された。
閉場セレモニーも代読で心配していたが翌月の印度なやつにはその後出演が決まって、これもびっくり。ぎりぎりの攻防だったのかな。
お三輪に菊之助。菊之助っていじめられが似合わないのかも。ダメージ受けてる気がしない。
豆腐買いを時蔵がやっててじわじわくる。この役米吉が似合うのでは。聞かれてないのにしゃべりそう。

11月

ガラスの動物園・消えなさいローラ
四人芝居と二人芝居の、続きでない続きもの。割と洒落にならない話でやり切れないし、調べたら作者(トム)の家族自体が描かれたといって良さそうで、さらにやるせない。
松也この月も長時間出突っ張り。
ローラは別役さんがなかなか上演許可を出さなかったのだそうで単独でも上演が稀。通しで見られて収穫。見たときのあれこれは別のエントリに書いた。

リムジン
本多劇場。日本の日常が舞台。お芝居の間が良くて安心感がある。向井理はこのくらいのサイズの劇場の方が、大劇場よりいいんじゃないかな。

歌舞伎座では昼、驚きのマハーバーラタ再演。
顔見世月で印度とは。
直前に菊五郎の出演が発表となった。
お正月の国立劇場の復活狂言がなくなるので、実質これが劇団の正月でいいと思う。(意見には個人差があります)
再演で少しパワーが削がれている気がしたが
何が足りないのかよくわからない。
しかし千穐楽(珍しく土日だった)に見たとき、カルナの決意がカチりと決まった気がして、それまでにないカタルシスが生まれた。
母の心を汲めないまま最後の決戦に向かうより、全部引き受けて自分の意思で前へ進む方が心地よい。
前回との配役入れ替えで最も話題となっていたのは芝のぶの鶴妖朶王女だったろう。菊之助の歌舞伎の中ではナウシカあたりから着々と布石あっての抜擢。
が、私はまんまとビーマ(萬太郎)にハマってしまった。あああどこにあるかわからないのが落とし穴だよ。
夜は松浦の太鼓。
仁左衛門の松浦公。松緑の源吾。
お縫殿が理不尽な目に遭うのがつらいが
それ以外は結構好きな演目
昼から残留の隼人やら鷹之資やらが、うんうん頷いてる近習でお勉強している
ある程度の歳になった鷹之資の源吾など良いだろうな
鎌倉三代記はごめんなさい睡魔が。
踊りは左近の静御前がかわいかった。

12月

ルパン歌舞伎。
しーばーらーくーって銭形が出てきて、とーっつぁーんってルパンが応えるような歌舞伎。
南禅寺山門や稲瀬川勢ぞろいをがっつりやる。
外題は「流白浪燦星」筋に都鳥の面影がうっすらあるような。
求められた役どころを的確に全員がこなしている。FFのときもそうだったが型を演じるのと似通った所があるのだろうか。これをニンで済ませたら笑三郎に怒られるだろう。(でもニンって発見されるものなのね(笑))
原作を使って、はっきり古典を織り込んで。4月の陰陽師も同じだったけれど清明と博雅はこんなふうに型として実現してもらえなかった。寂しい。
衣裳の写ったグッズも開幕に間に合わせ、上り調子で満員御礼、追加公演まで持っていった全てのプロの技に敬意を表したい。
考える暇も批判を読む隙も与えず、いま劇場へ行け!という短期決戦型の宣伝工作も功を奏したのだと思う。
日テレ的な遊びの質を容認できる人に合う歌舞伎だし、そういう人はいっぱいいるということだ。
(とうかぶもメイキング番組は日テレが関わったようだがどっちかというとテレ東的な香りがする。)
五右衛門の褌の話は他で書いたが、松也くんが年始ごろむっちむちで色々言われてたのに、痩せたらみんな落ちててちょろいし、少し心配されてた。趣がある。
(24日、とんでもなかったので別の記事に追記しておきました。
これを観るに、北千手観音とかヤマンバひーちゃんとかを継げるのは松也だと思う。ところが左團次の方ではないかという説も持ち上がっている。どうしよう。(そこは悩む所なのか))

歌舞伎座は三部制
1部は岡崎猫だけ幕見。やゑ亮を見る会だった。ミクさんのは以前新橋に来たときので満足してしまったというか。あと、歌舞伎座や新橋の超歌舞伎は若干よそゆきなのではという先入観がある。
2部、爪王と俵星玄蕃。どちらも楽しみで、見た結果も良かった。爪王の鳥類と哺乳類と人間っぷりは見てもらうしかない。しゅごいよ。
俵星玄蕃は新作。先月松浦の太鼓を見ておいたことがここで良い働きをする。見えている舞台の外で同じ瞬間にこの太鼓を聴いている人がいる。そんな広がりを感じたのは初めてだ。
松緑が辰之助だった頃、新しめの演目でうまさを発揮する印象だった。もうずっと古典の人みたいになっていたけれど、やっぱりこっちなんじゃねーの?と疑っている。
3部は天守物語。姫路城の麓の公演では冨田勲のサウンドを使っていたが、今回は別の曲がメインでシンセは効果音的な使い途だった。今はこのほうが違和感ない。トミタと言えども古くなることに少しショック。もうその価値は自明でなく説明しないとわかって貰えない。
富姫に七之助。玉三郎演ずる妹分の亀姫が大変かわいい。いままで見た数少ない玉さんの中でたぶんいちばんかわいい。


一覧

1月
吃又、連獅子(浅草)
卯春歌舞伎草紙、弁天娘(歌舞伎座)
遠山の金さん(国立劇場)
2月
三人吉三、霊験亀山鉾(歌舞伎座)
3月
花の御所始末、髑髏尼、吉田屋(歌舞伎座)
FFX
4月
新・陰陽師(歌舞伎座)
FFX
5月
團菊祭(対面、信長、眞秀、だんまり、達陀、髪結新三)(歌舞伎座)
魚屋宗五郎(国立劇場 前進座)
御贔屓繋馬(明治座)
6月
日本振袖始 (国立劇場 鑑賞教室)
千本桜(木の実〜四の切)(歌舞伎座)
7月
神谷町小歌舞伎
新作歌舞伎刀剣乱舞(新橋)
8月
歌舞伎舞踊特別公演(寿式三番叟、汐汲、釣女)
酒呑童子、新門辰五郎、新・水滸伝(歌舞伎座)
舞踊名作集III (小鍛治)(国立)
9月
妹背山(国立)
金閣寺、車引、連獅子、一本刀(歌舞伎座)
スリルミー(松也・廣瀬組)
10月
妹背山(国立)
天竺徳兵衛、文七元結物語、角力場、菊、水戸黄門(歌舞伎座)
翔之會
11月
マハーバーラタ、松浦の太鼓、鎌倉三代記、顔見世(歌舞伎座)
ガラスの動物園+和田ローラ
リムジン
12月
岡崎猫、爪王、俵星玄蕃、天守物語(歌舞伎座)
流白浪燦星(新橋)

敢えての10本

同じものをもう一回見せてくれるって言われたら見たいかという観点で

今年のをもう一度見たい
刀剣乱舞歌舞伎 見たい
FFX歌舞伎 シーモアバトル見たい
霊験亀山鉾 仁左さん見たい
爪王 動くものとして素晴らしかったので、もう一回くらい見たい
俵星玄蕃 練り直してほしい所はあるが、久しぶりに登場人物の人間性のわかる歌舞伎を見た
弁天小僧 愛之助弁天が癖になる
ルパン 大ちゃんを見たい
マハーバーラタ おやじを拝んで、ビーマを見たい

よかったけどとりあえず満腹
達陀 定点観測的な演目。5年に1回くらい見たいもの
角力場 巳之助かわゆい。初めて獅童にニンを感じた(正直何が合う人なのか知らなかった)


12月時点の彦三郎さんインスタによれば、楽屋で今月の演者でない息子さんの鬘合わせはできるようになったけど、番頭さんはまだ楽屋に入れないとのこと。
本復まであと少し。

今年通しての所感
・鷹之資くんは信頼できる
・歌舞伎はやっぱりチラシに載る人の基準が変

歌舞伎

Posted by kikuyamaru