正臣強化月間

ときは2021年9月でございます。
近藤正臣の神津恭介がCATV(の、うちで見られるチャンネル)で放映されるというのをみつけて楽しみにしてました。
好きだったんだー、神津恭介。土曜ワイドの作品ですけど、もっぱら昼間の再放送で見てました。
でも再放送ですらもう20年くらい前ではないかしら。
それがジェレミーブレッドのシャーロックホームズと時を同じくして見られるとは。
そしたら重なる時には重なるもので。
そもそも近藤正臣づいてきたきっかけが黄金の日日の石田三成なんですけど、
そのちょっと前にはからくり事件帖の再放送がありました。それから新必殺からくり人、吉原裏同心、裏刑事と出るわ出るわ。なんなんだこの近藤正臣月間。
私、この人に関しては普段は探して見るというのではなく、あー、出てるー、くらいの見方なんですが、今月は面白くなっちゃって探して見てました(笑)
というわけで見ちゃったのでいくらか書いときます。てきとー順。ネタバレあります。

黄金の日日

1978年。石田三成。
大河ドラマです。近藤さん36歳で高校生相当のエピソードからスタート。爽やかで実にかわいい。その中に律儀で賢い片鱗が見て取れる。いい三成なんだわ。
9月放送分は三成出番ございません。そろそろ戻るかと思いますが、三成は出世し、どんどん胃の痛い展開になっていきます。対比して思い出されるのは、あのかわいかった三成。楽しかったあの日。
この作品については他の記事で書いているように何度か見ておりますが、一週ずつ見るのがまたよい。

からくり事件帖

2001年。川路大警視。
NHKの時代劇です。川路は明治維新後、日本の警察組織を形にした立役者にして、この物語では仇役です。
私は昭和の人間ですので近藤正臣と言えばキザな二枚目のイメージなんですよ。それが、老獪な大物役にがらっと転換した。ときは流れたのだとはっきり感じたのがこの川路でした。これは本放送で見てます。手強く冷酷な役柄。のちに山内容堂につながる路線と思います。いやあ、嫌いですね、川路。(おい
脱線しますけど、ラストで主人公がとる行動が不可解でねえ。20年間ずっと引っかかってました。今まで敵対していた川路の政策に乗るわけですよね。分からん。今見てもわからん。
あとエンディングテーマを歌っていた阿保郁夫さんが先日亡くなりました。目まぐるしく動いてゆく国や人の運命を思わせるドラマティックな歌声でした。

松本清張の溺れ谷

1983年の土曜ワイド劇場作品です。主人公の記者大屋役。
政治、カネ、野望、思惑入り乱れる松本清張は難しくて避けて通ってるのですが、頑張って見ました。
うまく利用したつもりが手玉に取られたり、追い詰めたかと思いきや、やはり巨悪は滅びず、腹の立つ結末ですね。どっちかというと終始カッコ悪い役。この結末の後この男がどんなふうに這い上がってくるのか気になります。このままじゃ終わらんよね。
昔の土ワイは2時間の中でチャンネルを変えさせないために、ちょいちょい裸体とかベッドとか出てくるんですが、これが女性だけとは限らないw。この頃の近藤さん、脱ぎ要員らしくこの話では風呂入ったりします。あと、髪型がいつものあの前髪じゃない。短髪でちょっと珍しい。
AXNミステリーで放送した時の予告こちら(公式fb)
https://m.facebook.com/axnmystery/videos/416461725610053/

火の坂道

これも1983年の土ワイ。主人公のセールスマン役。司法試験に失敗し続け、妻との関係も危し。我儘なかつての秀才の聚落。成る程ね。
ここでも脱ぎ要員でして、ベッドシーン以外にも序盤から上脱いで流し台で頭流したりしてね。着ないまま夫婦喧嘩してんの。
それが最終的には光属性のこんどーさんになってて、あはは。まあ、ギスギスしたシーンよりいいけどね。

謎に気づくきっかけになる乳母車は、ベビーカーじゃなく横型の乳母車です。私が子供の頃はありましたけど、いまはないですよねえ。当時はぎりぎりあったのかなあ。
最寄駅として使われている宮前平が馴染みのある駅で、わー、あそこに近藤さんいたんだ…って妙な感動がありました。
なお、この作品の2ヶ月後から神津恭介のシリーズが始まります。

新必殺からくり人

1977年。蘭兵衛
必殺シリーズです。
蘭兵衛、実は高野長英。高野長英知らない人は検索。早坂暁って蘭学者とか好きそうよな(偏見)。
蘭兵衛という名は、最初のからくり人の元締めの名前です。それとは関係なく蘭学者であるこの男が咄嗟に使った偽名が蘭兵衛。
真っ暗闇からほのぼのまで。剣戟から医術まで。いい近藤正臣が見られる作品です。強い。かっこええ。あと、風呂も入ります(それはもういいから)。
自分はどっちかというと東映時代劇が好きで必殺は嗜む程度なんですが、これは完走しました。
音楽は他のシリーズの名曲流用多し。何度でも聞きたい曲はあるもの。

裏刑事 —URADEKA—

1992年。三枝慎一郎。
アクションドラマです。トランプを飛ばす元悪徳弁護士。セルフパロディ的なところが多分にある役。
三枝サン、かつて主人公が捕まえた相手を無罪にしまくっていたらしいですが、バッジを剥奪されて裏刑事に。弁護士時代の話が見たくなっちゃいますね。ぜったい面白いのに。
毎回同じコートの藤竜也に対して、近藤正臣の毎回変わる服のシュミがやばすぎる。あの服普通着て歩けないよ。
また変装しての聞き込み芸も楽しい。
西村和彦との流暢すぎる関西弁にわか親子喧嘩はよかったなー。ああいう芝居、ずーっと聴いてたい。
ま、話は、、、。
ところで、この頃21時台でこんなにお色気満載というのは意外。3話でトヨエツがレイプ犯で出てますがヒドい。いやトヨエツが酷いわけではないがヒドい。

吉原裏同心

2014年。四郎兵衛。
NHKの時代劇です。しろべえと読みます。吉原会所の頭取。吉原を束ねる役目。
「斬り抜ける」ばりの過去を持って吉原へ流れてきた主人公夫婦に役目と安住の地を与えた男。
ご自身もさぞや修羅場を潜り抜けてきたんでしょうなあ。
この作品は、幹どのとあねさまの雰囲気が良いのと、悪い結末にはならない安心感で見てました。かわいい夫婦です。
(斬り抜けるは近藤さんが女連れて逃げる話。こちらはしんどい。)

探偵神津恭介の殺人推理シリーズ

1983-1992 神津恭介
土曜ワイドの中のシリーズものです。
むかし昼の再放送で神津恭介やってると喜んでみてました。あのトランプがすきだー。

神津恭介は、日本三大名探偵ということになっていますが、明智、金田一に比べるとやや知名度で劣るのではないか。それは映像作品の少なさからでは?と思う。
ちょっと思うのは、神津恭介、テレビ向けじゃないのでは?ってことですね。
時代背景もフォーマットもそのままではドラマにしづらい。
近藤版はよく勘案して映像化してるなとは思うけれど、じゃあ近藤正臣のエッセンスを取り除いたときに残る神津恭介のイメージってなんだろう?って考えるとね。どの俳優でもない金田一耕助の最大公約数の絵は描けるけど、神津恭介は描けない気がする。
にもかかわらず、村上弘明、片岡愛之助のリメイクは、いやぁ、なんか違うだろ?って思っちゃう。どうしても近藤正臣に引きずられます。
今なら誰かねえ。女のような美青年にして学究の徒。

この近藤正臣の神津さんは、当時かろうじていたかもしれない、家では和装の男子の生き残りのようです。(波平さん参照) これは11作を通じてずっと貫かれています。
元々大正生まれで戦地帰りの設定。こういったところにその名残があるのかもなと思います。
もうそろそろ、現代化せず戦後の雰囲気で神津恭介を作るってのもありなんでは?それがだんだんに年齢を重ねていく様子を長い時間かけてシリーズで見るとかどうだろか。
そういうことやるならNHKかなー。

1作 高木彬光の刺青殺人事件 (1983)

いくら裸体ださなきゃいけないからって最初から出し過ぎでしょー。あんなに並べなくたっていいのにw
並べた絵は綺麗ですけどね。

トランプと健身球の小道具はこの回から。
神津さんの妹・信子ちゃんと、後輩のルポライター松下くんとその兄のフォーマットもこの初回から変わらず。(役者の入れ替えはあり)
脚本はこれだけジェームス三木で、のちの作品とはテイストが異なり、印影の強い絵づくりになっています。雰囲気もちょっと暗い。神津さんの性格も厳しい。テーマ曲はこれだけ羽田健太郎。
神津さんちは和室と洋室が隣り合わせ。
なんと松下くんにベッドシーンが。大和田獏まで脱がせるのか土ワイ。(なお原作どおり)
神津恭介は、メンタルをやられており、途中で入院したまま引きこもり推理をはさみます。これは原作の松下くんの躁鬱と、神津さんが時々入院してたのが混ざってる感じ。ベッドディテクティブって言うんですってね。なんか、神津恭介でこの絵柄やりたかったんだろうなあって思いました。
いくつかの神津像の中からどのイメージを残すのか。パイロット的性格の作品かもしれませんね。

2作 影なき女 密室で真犯人を…(1985)

この話からは神津恭介シリーズのフォーマットが固まってきます。
音楽が津島利章になり、この後ずっと使われるテーマが初出。
神津さんは1作目より気さくに。病気治ったかな。部屋は和室と洋室隣り合わせ。
ピンクレディーのミーちゃんが2役で出てます。
松下くんの兄は誰がやってても騒々しいんですがこの回は原田大二郎。うるっさっ。
2時間サスペンスって、なんでいつもこんな大きな屋敷の家族のどろどろになるんだろな。
若いお嬢さん方の服装に80年代を感じます。

3作 魔笛に魅せられた女 (1985)

シリーズ最高視聴率の回です。
繁華街で3人連れから松下くんと信子ちゃんを残して神津さんが退散するパターンは前回と同じ。
原作の温泉地から横浜に舞台を勘案して横浜の夜からの始まり。
時代が下ったことによりトリックの無理矢理さが薄らいでいます。good job。
この話の神津センセイはだいぶ自分の足で動いて実地で色々材料を集めています。出番多くてよろし。服も普通人に近い。(笑)
神津さんちは洋風の応接。ややせせこましい。そして自分のデスクにトランプが積み上がり、スイングする置物があって、スネークパズルがあって、確かにあの頃手品売り場の近くにそういうのあったわって思い出す。
あと人体模型もある。こわい。センセ、模型を傍に神妙に本をめくってますが、それでそのトリックはわからんやろw
音楽が鍵になる作品なので、G線上のアリアをアレンジした主題曲が使われています。
神津センセイもモーツァルトクラブの会員だが、もっぱら聴く方ということになってます。

4作 初夜に消えた花嫁 ヴィーナスの柩の謎… (1986)

テーマ曲復活。
いやあ、姉妹ものばっかりだなー。
んで、博太郎なんで、博太郎だろうなと思ったら博太郎でしたね。
神津さん、法医学研究室にいることが明示されました。シャツの袖クリップふふふ。
晩秋の重そうなコートもいいですね。
神津さんちは大きな古民家で囲炉裏が。金魚にエサをやる神津さん。ふふふ。(そんなんばっか)

5作 血塗られた薔薇 婚約パーティーで真犯人を (1986)

海老(笑)。海老の生命力に驚かされる。
この回から、土ワイのオープニングタイトルが入ります。なつい。。
原作は名古屋の話。
この話、本読んだ時も人間関係がわかりづらくて、TVも一回じゃわかんなかったなー。また姉妹の話です。
深大寺のバラ園の中を歩く赤い服の女の絵がきれい。
前回も深大寺が関わってた。家も囲炉裏の家だから、まとめて撮ったかな。十二神将みたいなのが棚の上に並べてあるし、なんかすごいうちです。
サスペンダー。ふふふ。
この話は神津さんの種明かしの語りが長くていいなあ。

6作 ビデオに写った妖しい女 私は殺される… (1987)

今回は姉妹の話じゃないですね。芸能界のお話。金髪の人がうそくさー。
松下くんは、はなから凶器を押しつけられる。いくらなんでもうっかり過ぎ。
神津さんはちょっと若返った気がするんですよね。痩せた?
あとさすがに古民家は引っ越したんですかねw
暖炉のある立派な洋室になりました。この部屋は見たことある気がする。

髪をバサっと払う神津さんの真似をする松下くんとか
赤いバラをキャッチする白スーツの神津恭介とか、世間の茶化す近藤正臣に乗っかってるのが可笑しいです。
ピースした神津恭介jokerが競り上がってくるEDも楽しい。

今回神津恭介は犯人が服毒しようとするのを看過しますが、松下兄が止めます。
この神津先生の自殺や殺人止めない問題は度々あってどうも引っかかりますが、この人そういう人なんだなと。台詞ではっきり死なせてあげたかったと言ってますね。

7作 美しい三姉妹を狙う死の予告トリック… 呪縛の家 (1987)

えーと。姉妹ですw
これは、先に愛之助ので見ちゃいましたが、途中まで同じ話と気づかなかったです。

近藤正臣版は横溝風ですかね。監督は第1作と同じ。
でも土ワイですよねー。この、こちゃっと家族全員が画面内にいる感じとか、エアロビとか、土ワイだよねー。

神津さん、この話では理論物理学の先生です。ガリレオか?
神津さんちはまた違う家ですね。でも概ね和室と洋室が隣り合わせの所を選んでますね。
特筆事項としては大場久美子の心中〈しんじゅう〉を衝撃的な手段で止めます。
うわはは、、そんな止め方ある??笑笑
ある意味シリーズいちの問題シーン。
これは並の二枚目だと無理ですw

8作 伊豆下田海岸に赤い殺意が走る 悪魔の嘲笑 (1988)

赤いシリーズとの錯誤を狙ったタイトルですかねー。どの辺が赤いのか。
女性弁護士さん(梶芽衣子)と神津恭介が緑の下で並んで歩いてると「相棒」の1シーンみたい。と共に溺れ谷も思い出す。勿論配役のせいですが、作りも社会派っぽいというか。
神津さん、この話は医学部。珍しくキャンパスを歩くシーンなどあり、学生がいると研究者じゃなく教育者に見えて面白い。
なんのかんのよく出る高峰圭二。今回は刑事じゃなかった。
神津さんちは、骨董屋みたいな妙な調度品になりましたねー。生活感ない。
後半は伊豆下田タイアップ。
そういえば、すっかり裸が出なくなりましたね
ベッドシーンとかショーはありますが、前みたいにこれ見よがしな風呂とかシャワーとかが無くなりました。
代わりに若い女子に神津さんがまとわりつかれるシーンが増えた気がする。迷惑そうw

9作 こだま号遠隔マジック!?人形はなぜ殺される?(1990)

伊豆、一回では足りなかったようで(苦笑)。
これは、原作ありを名乗っていいんだろうか?っつーくらい違う事件ですね。

神津さんは、外出の時はつば広の帽子をかぶって、サングラスかけたりして、裏刑事風味が出てきました。
部屋は、洋風のリビング。
大きな富士山の日本画が掛かっているかと思えば、よく見ると頭骸骨を抱えたおばけが置いてあったりする。どんな趣味やの。

この話では、わざわざことが成った後に現れ種明かしをして皮肉な結末に導いています。
結果的に出生の秘密もの3連発ですね。
テーマ曲はこの話数用のものかな。女性スキャットの入った曲。

10作 白魔の歌 南太平洋の楽園パラオに消えた妹(1990)

ここからフィルムやめたのかなあ。
この話、初っ端から佐藤仁哉がパーティで挨拶してるんですが、佐藤仁哉ってなんでこんな出るとすぐ悪いほうだとわかるような扱いになったんだろうなあ。かっこいいのに。
おうちで毎日花に水やってるそうですよ。あ、ごめん、ドラマ関係ないわ。
さて、今回なんと海外です。連れ出される神津恭介。連れ出す先がなんでパラオかなw。タイアップが伊豆では飽き足らなくなったってことですかね。
そして潜ります。センセイなんでもできるなあ。
占いはいつものトランプではなく、大きなタロット。持ちづらそうです。
テーマ曲はいつものモチーフに戻っています。

また犯人の自決を許す…だけじゃなくわかっててそこまで導く神津センセ。
なんでだよ。大場久美子の時には止めたのに…あ、大場久美子は犯人じゃなかったからか。
例えば右京さんなら絶対許さないよなー。生きて償えって言うよね。神津恭介って何がなんでも死の連鎖を止めようみたいなとこはないんだよね。

11作 密室から消えた美女 2-1=1が怪しい(1992)

無駄にセイリングする近藤さん。インコとトカゲも飼ってる。(なんだろうこの描写)
松下くんが今回だけ太川陽介です。
推理ものにブンヤが絡むのはありがちですが、ライターの松下くん以外に2人も絡んじゃう。多過ぎw。そのためにごちゃごちゃしますけど話は面白い。間違った推理をいつもは松下くんが展開していく所を今回は記者で神津オタクのお嬢さんが展開し、神津先生は否定せずにうなづいてるだけ。なんかおとうさんになっちゃったみたい。流石に年輪を感じます。
これ当時としては新作の映像化なんですね。
原作では一線を退いてる神津を引っ張り出している話らしく、ネットに書いてある読後感が、テレビを見た感想と割と一致してるので、結構原作を活かして映像化されてんのかも。
なにせ神津さん大正ボーイなので出版された1991年当時は71歳のはず。であれば今の近藤正臣を引っ張り出してやってもらうのも一興では。(ただ見たいだけ)

以上、個人的近藤正臣強化月間でした。

余談。ドラマの放映年を調べてたらテレパックのサイトで以下の連続ドラマの紹介を発見。
「かたぐるま
女にもててしようがない息子を中心に、百合山家の騒動を描くホームドラマ。」
この息子近藤正臣らしい。見たいですねえ。私ホームドラマ苦手ですけど、女にもててしようがないってどんな状態なんだ。
あれか、石立鉄男とか石坂浩二のホームドラマのあの感じか。ああいうモテモテも昭和のものですなぁ。

Posted by kikuyamaru