もうひとつのこぼれ種 新橋に開く双葉 ~刀剣乱舞歌舞伎を観てきました~
新作歌舞伎 刀剣乱舞 月刀剣縁桐(つきのつるぎえいにしのきりのは)
新橋演舞場 2023年 7月2日(日)初日〜27日(木)千穐楽
刀剣乱舞歌舞伎を観てきました(いっかいめ)
一見して、これならいままででもできそうじゃん、普通じゃないか と思うかも知れない
でも普通の普通じゃない
もうご覧になりましたか?
なんのハイライトも見ずに次はこうくるはずと言い当てられたでしょうか
知らなければまんまとやられてしまう部分が一つや二つはあったんでは?
見たことあるけど見たことないという言葉の通りの歌舞伎であったと思う
あ、ちなみに私、とうらぶのことはFF以上に何も知りません
同じく知らないあなたにご説明↓こちら
…入り切りませんでした。全文は劇場で。
歌舞伎はわりと観ますがガイド借りない族だし偏っている
贔屓は音羽屋 というか菊五郎(おやぢ)
今回は「松也の仕事」を観たかった。
私が初めて買った松也の舞台写真はギャルの役であるw
こんなやつであった(写真の権利の問題があるので我が筆にて想像いただきたい)
おやぢがこんな役をくれるようだからこんなこと(どんなことだよ)になっちゃってるのではないかと思う
#ちなみに古典です
#今見れば、髪につけている蝶の髪飾りはおかあさんが蝶々好きって言ってたなとか、松也タトゥー好きって言ってたなとか思い当たることもある
役者さんてのは兄弟や同じ一門でも面白く違ってくるもんだなと思うし
そんな中に同じ根っこを感じることもある
同じ世界に芽吹きしが、いつしか鉢を転々と
巡る月日に幾百の景色過ごせし一株の
故郷に拡ぐるえにしの双葉
本作は空間の使い方と進行タイムラインをとても考えた作品だと私は感じました
舞台以外でも常に芝居を進行させ途切れさせない工夫
入れ替わりや二役を不自然と見せない工夫
上下左右から普通なら舞台裏になる奥行きや客席までいっぱいに使う工夫
宙乗りも本水も両花道もないです。
けど昔ながらのやり方より洗練されてスピーディーでダイナミック。
ひとつひとつは未知の技術ではない
使いようなんだと思う
これらの工夫の偉いとこは、別の劇場でもできるところ
花道と回り舞台のある、歌舞伎のできる劇場ならきっとやれる
FFXは豊洲に置いてきた夢だった
こんどのは持ち出せる
持ち出そうぜ松也
以下は徒然に 思いついた順に
ネタバレがありますので
見たくない人は閉じて下さい
あと、歌舞伎の演目の名前とかなんの解説もなく書きますのでそこはごめんください
あと、観てない人には全く優しくないです。すまん
外題
そうそう。今回は歌舞伎っぽい外題(げだい)(もしくは 名題)があります
「月刀剣縁桐」 読めねえよ、っていうこれです。桐は足利の紋だね。
FFのときはなかった。 新作歌舞伎ファイナルファンタジーX だった
ナウシカの初演のときもなかったし、ナウシカ再演の「白き魔女の戦記」や、陰陽師/新・陰陽師の「滝夜叉姫」は外題と言うよりは副題だとおもう
ナルトもワンピースも、外題はない。新選組もないね。あらしのよるに、もないよな。
あまりにもないので、原作ありの新作歌舞伎で原作名以外の題が付いているのがあるか探しちゃったんだが、基本、ないんだね。三谷かぶきと、あと、中村屋のがあったかな。
なんでつけたのかね。色々他にも作ろうということなのか、歌舞伎なんだからねっ、という宣言なのか。
新橋の新作の音楽
曲は知らないのでおいといて(ゲームの人が感動してるから良いのだとおもう)
台詞のマイクオン/オフなんかはほとんどわからなかったんですが、音楽だけはシームレスとは感じませんでした
音楽が悪いんじゃなく、音響なんでしょうね
お琴や琵琶にマイクが入るからなのか、録音の部分なのか
あああ、演舞場の新作歌舞伎だわこれーっていう部分が唐突にやってくるんですわ
20年くらい前に見た源氏物語の記憶がふわっと去来したときには、え?って自分にびっくりしちゃった
なんか、もっと気持ちよくなるんじゃないかな
よかったのは最初のところ義太夫で
大鼓、小鼓を打ち合うかのように音を刻みながら刀を鍛える刀匠と2人の相槌
振りだけでなく役者さんが実際に打ち付けて金属音を鳴らしていて
足拍子ならぬ槌拍子と言ったところ
なんか、そこだけでも見たいかな
回り舞台
宗近が姫を振る所から、橋を渡って義輝に会うところ。これが回り舞台の上の同じ庭の中なんですね
普通回り舞台は直径部分に背景が立っていて裏側は別の場所になります。所変わって、というのを早くする発明です。舞台が回ると空間が瞬間移動しちゃう。
それがこの場面は盆の真ん中に背景がなくて、宗近はずっと歩いていて客の視界の真ん中にいるんだけど舞台の方が回る。そして正面にいながらにして真裏へ到着。これを映像で言うところのワンカット長回しでやる。
ステアラのときに、歩きながらの背景移動がありましたが、それを盆の上に仕立てたらこうなりますかね
舞台裏ツアーなんか行くと驚くんですけど、実は回り舞台はいつも見えてるよりずっと奥行きがある
いつもは真ん中に背景があるけど、それがなかったら無茶苦茶広いわけだ
そして全国の回り舞台のある劇場にはこの裏側分の空間がある
夢が広がるじゃありませんかー
もうひとつ回り舞台を広く使うのが、義輝の最期
最終的にこの場は大物浦の知盛の最期のようなことになります
捕手が使う太い縄も知盛を思わせます
ここは、岩場の頂上で立ち回りの最中に盆を回し
岩場の裏側は滝の流れる断崖だぞというのを見せておいて
岩場が正面に戻ってきてから、最期の後ろに倒れる場面になる
まわり込みです
いまやドローンやデジタル技術でなんとかなりますが、それ以前はずっとしんどかった絵作りです
これを極めて現実感あるやり方で実現
回す
戦いながらぐるぐると葛藤する二人の心(なのか、回したかっただけか知りませんけど)
スイッチング配信で見てると視点が変わるんだと思うけど(今回は配信見てないのだが)
舞台の客席だと、見てる景色はずーっと定点になる
その実際の舞台で見える角度が変わるという工夫でもあります
知盛もね、いつもなら、あの後ろ落ちる先はどうなってるんだろ?って怖かった所だよ
今回は…2時間ドラ…
一階からだと見上げる形なので、すげえ大道具だなあ、上でなにやってるのかや?となってしまうのでここは二階からが良いのかもしれない
男士たち
先に書きましたが、刀剣乱舞、ミリも知りません。
なのでそもそもの彼らがどう歌舞伎に落とし込まれたかについては書けない
ので、見て思ったとこを書きます
紅、ロイヤルブルー単色ばーんな衣装はあまりないと思います
はっきりと和テイストである
でも歌舞伎の色じゃない
それがビジュアル公開のときの感想
青赤黄ときて戦隊か?と思ってしまった
赤い小烏丸 平家の重宝と名乗られて、なるほどそれは赤いわ、と思う
天国作のとても古い刀だそう
アマクニ?
失くしたらたいへんじゃん
(歌舞伎の刀はなくなりがち)
雪之丞(春猿)を配役したので、どう作るのか?女形っぽくするのか?と謎でしたが
性別関係なくこういう格好のひと(ひとじゃないけど)ということだな
対して、源氏の髭切は白い
それはそれは白かったです(失敗写真)
笹竜胆も付いてる 源氏だ
歌舞伎ではたいそうお馴染みの友切丸と同一視されるらしい
友切丸はとにかく紛失するものなんで、時折いないのも仕方ないな
まるるかわゆし。そして丸い。和事の兄
膝丸は異名のとおり薄緑。
これも土蜘蛛で馴染みのある蜘蛛切の刀。
ほうアレかーと土蜘蛛を思い浮かべるが
違うで、斬るほうやで>私
そして荒事の弟
源氏の方々については、曽我の対面で花道を出てくるときの曽我兄弟ほぼそのままのすごくわかりやすいもじりシーンがあります。
実際に対面で出てもさぞ良かろうと思うような、よくできた五郎十郎で、役者のプロモーションとしてもしっかり機能しているなあと思ったり
吉太朗は前月19日まで博多座に出ていて、新作だし稽古大丈夫か?と心配しましたが、そこはそれ、全然大丈夫だった。さすが。
ちなみに博多座は文七元結のお久。ああ見たかった 六月の博多座すごく面白そうだった。隣の芝生は青い。
同田貫はどっちかというと時代劇で聞く刀。
強い浪人が持ってるやつだ(頭の悪そうな文章ですみません)
結構生意気な感じなのね
今回鷹之資は久直のしどころの方が断然あって、そっちの役も上々だけども、こちらの役も間違いないな。強そうやもんね。
ひとさし舞えとか物語せよとか言われたら誰でも舞いおどるのが歌舞伎なので、大ちゃん見せ場キタくらいに思ってましたら、
同田貫も舞うんだという反響が少なからずみえている
大丈夫。たぶん日本語はなすのと同じくらいのノリでやってるから大丈夫だ
…カゲ練している可能性はあるが
小狐丸
小鍛冶のやつ という知識のみ
記者会見のとき自分で顔が長い言うからなんか見てしまうんだけど、うん。ごめん。長い。
姫と久直は退場してしまうけど、上様は最後まで残るので、右近ちゃは殊更に忙しいの極みになっている
上様は上様で必要だけど(最重要ともいう)
小狐丸はもっと居てもらわないと、もったいないべ。あんな存在感あるのに。
これを打開するには松也の隣にちょうどいい役者をもう1人連れてこいって話になるわけだが、この丁度いいが難しいんだなー
でもこの小狐丸に「つれない男よのう」って言わせるのはなんか二重写しっぽくていいよね
訂正:つめたい男って言ってますね。そんなことないぞ小狐丸。
三日月宗近
ロングロングポニテ…であることは初回のビジュアルではわからなかったですね
メインのビジュアルが出たとき賛否ありましたけど、褒めてる人は「美しい…」と言ってくれていた
が。
え、このくらいでよいのでしょうか…もっといけるんだけどと思ったのが正直な感想でした
歌舞伎的にもっといい男寄りの化粧ってできると思うんですよ
でも陶器のように無機質な顔に仕上げていて
足りなくね? 刀剣だから?
あ。あれだ。シーモアでめんどくさい線を描くのに飽きたな(邪推)
あれを書く時間を考慮するとギリギリの時間までテレビ局で宣伝できないもん(だいぶ邪推)
でも加減がわかんなくなって毎日メイクが濃くなる舞台あるあるが発動したりするんじゃないかな
歌舞伎と関係ありませんが着替えて裃で出てきたとき昔演舞場で見た田村正和を思い出し、
それも相まって、昔の時代劇の主人公みたいだなと思った
時代劇にいた、清廉な二枚目の、しかし生い立ちに何かありそうな貴公子。
裃は侍が出仕するときの姿であり
あの姿でいるのは義輝のもとにいるのに相応しい姿にやつしているということかと思います
別の本性が有りながら巷の生業に身をやつし、あげくに岡惚れされてしまうのは歌舞伎あるあるですが、出来上がらなくて本当に良かった
お礼のつもりで応じていたけど実は京(みやこ)に妻子がいますみたいな男が時折いるんですよ
そんな身勝手よりは、興味ないなら興味ないと正直に行動してくれる方がいい
松也は舞や立ち回りで振りが流れてしまう洋舞っぽいとこが気になりますが、古典でときにある"君だけ別作品か!"と思うほどの違和感はないです。
彼の本領発揮はそこよりはまさに「ほんの僅かの本心」の表出であると思う
ハートを見せることと歌舞伎でよしとされる表現はときに食い違う
松也はそこにどう折り合いをつけるのか、と、行く末を思ってしまう
じじばば
じじとばば こと、異界の翁、異界の媼。なんだろう?と思ったらだいぶ重要な役だった。
國矢は、これほど新作に多く関わりながら新作くささを感じさせない不思議な存在。
今回はもっと憎まれ役風でもいいかな。
その点おばばのほうがより腹立つw
蔦之助は老若男女なんでもできると思ってたらほんとに婆と姫をやってて、欄間のお嬢吉三風に出てきたときの胡散臭さとかもう。もっとなんでもやってほしい。
彼らや「わざわい」がまつろわぬもの(まあ、つまり、アテルイの側だ)であるという三日月氏の説明は、確かに土蜘蛛であればそうなのだろうが少し唐突
最初にもう少し、おのれ足利な所が出ててもよかったなー まあいいか
(7/16 追記) ここは私の記憶が誤っていたようで、今日見たら、時間遡行軍をまつろわぬものと言い、じじ、ばば、災いのほうは民の怨念から生まれたものという位置付けらし。中央に従わない"土蜘蛛"連合という感じだろうか。
早替わり
早替え、と、最近の舞台語では聞きますが
歌舞伎ではあまり言わない気がする
馴染んだ言い方では"早替わり"
役の早替わり、衣装の早替わり
着替える側でなく客から見た言い方ですね
(こしらえる側から言うと高速着替えは"早拵え(はやごしらえ)"と言うそうです)
三日月登場のときの松也はちょっと驚きました
なーるーほーどー?
あと二役陣が結構顔も変わるのが面白い
小狐の眉毛鉢巻、久直と同田貫には傷がつき、上様は病で相貌が変わったり隈取があったりなかったり。
どうやったんだろー?ってなるよね。
(自分は、どうやったんだろー??というほど無垢ではないが)
お姫様は性別まで変わってるし(そこは技術!)
この作品は早替わりに限らずミスディレクションを生かした箇所がたくさんあって
そこを売りとして注目させるのではなくさらさらやるので
あれ?ってなるし、上手くやりゃあがったっていう小気味よさもある
いつのまにか違う舞台装置になってる、とかね
その面白さも新作ならではだと思う
だって全員見たことないんですよ
四の切であらかじめ知っている狐の出てくる方向を見逃すまいと見てるような客はまだ生まれてない
次はこうだとなぞるべき原作の筋もない
まっさら過ぎて面白い
(私は普段は原作を知らなければ事前に読まないです
知らない状態は後から作り出せないんで、知らない状態で見る面白さも味わいたい
#でもネタバレ絶対許さない民ではない
古典は途中を切り取った上演が多いため、そこまでのあらすじはチラシ程度で入れます
もっともほとんどの作品は結末までわかっている)
時間遡行軍
今回は外部のアクションチームが参戦しています
大量だー。包囲される。上の階にも通路にも。これはどこの席に当たっても全容把握は無理だね。
ヒーローショーの戦闘員メソッドで最前列に絡んでいる刀がおる。子供なら泣くね。
普段のアクションの背落ちとは違う歌舞伎のとんぼを、音も静かにこなしているあたりの応用力
二丁返りっぽいところや、刀のトスと受け取りなど、そろそろ蘭平が見たいなと思うような技もありました
今回初めて知ったのだけど、あの爬虫類の骨格的なちいさい蛇踊りみたいなのは短刀なんだって
「へー」だよ。それは知らなきゃわからないや。
そういえば、三代目猿之助の眉毛鉢巻のことが載った本があったなと引っ張り出してきたら
“欄間抜け"に行き当たって脱線するw
舞台上の上の方から鉄棒にぶらさがるみたいな感じでくるんと降りてくる奴いるでしょう?ああいうの。
名前知らなかった。先人の知恵ね
なお、歌舞伎役者さんも大勢出て立回りをやることはありますし、とんぼも返ります
それはそれで機会があったらおすすめ。
昔、返り越し(人が束になって寝転んでいるのを宙返りして飛び越える)で9人越しっていうものすごいのがあった
たぶん、松緑襲名の蘭平のとき? 伝説過ぎてあれ以上は見たことない
審神者
散々出てるから書いていいでしょう。獅童の声です
獅童と松也では松也がさからえるはずもなく(そうじゃねえ)
あれだね。ミッションインポッシブルみたいなやつという理解。
新橋で両側字幕って見たことなかったかも
謀叛
松永弾正に謀叛の企てありという果心居士
謀叛するはずないと久直
ふふってなる
だって松永弾正と言えば謀叛なんだもの
それわたし信じちゃうわ
刀剣男士も果心居士も胡散臭さは同レベルじゃないすか
なぜ三日月を一方的に信じられる?
で、色々諫言するも不興を買い、雲居姫に打擲され眉間を割られる久直
これは光秀ですね。
そして
陰腹
これは予想しないわ
陰腹といえばじじいじゃないですか(偏見)
なんか自分の無念と大義名分が一緒になって腹切ってて、いまいち気持ちはわからないが、若くしてこの役をやり切った鷹之資には拍手
自分の死で誰かの胸に楔を残す
その相手が父なのなら、もう少し父との考えの違いや交流が描かれてもよかったんではないか
我々が家路につくのは遅くなるけど
またそれが主人であるのなら、そりゃ結果は出るけど、君の腹は報われない。だって伝わらないもの。やっぱ君が兵をあげるべきだったんだよ
あと、宗近、遅かりしだよ
遅かりし
御注進
御注進大好きです
御注進というのは戦場から花道を駆けてやってきて(なので大抵は勇ましい格好をしています)、戦況を報告してまた駆け去って行く役です
唄というか語りは竹本の方がやりますけど、本人が語ってるつもりでそれに合わせて踊るので、
いきなり来て唄と踊りで報告して、じゃあ戦場に戻るねって駆け去っていく人ですね
それが今回は髭切膝丸2人でやってくる
片袖を脱いで、踊りも2人で、シンクロ御注進面白過ぎる
いいです。名場面だと思います
わざわいと戦隊
長い〆縄を切るとなんかが出てくる
鳴神かな
あれは龍神が駆け上りますが
今回はパンドラの箱のように災いを解き放ってしまう形です
このわざわいとの戦いで
最後に小烏丸がお伊勢さんの力でわざわいを封じる。
あれを命じられて小烏丸がなにか唱え始めたとき
なんとも言えん戦隊っぽさを感じた
「モモ、ゴレンジャーストームだ!」「オッケー!」(古い)
だと思ったんですよ
#必殺技は世代によって差し替えをお願いいたします
対するわざわいの姿かたちもすごいんですよ
闇堕ちした鎌倉権五郎かよ
でっけぇー
(ってそういう意味じゃないだろー)
昔、某ちゃんねるか別の掲示板か忘れましたが、創作歌舞伎を作る話題がありまして
そこに巨大鎌倉権五郎と巨大政岡の対決というネタがあったんだけど、何年も忘れてたそれを思い出しました
そういえば今回毛振りもないね
毛振りで解決しなくてよかった
ちょっと続き過ぎたからね
悪の鎌倉権五郎に立ち向かう戦隊
客席を埋め尽くす雑魚戦闘員
それはまったく見た通りで
あの動きは何を象徴してるんだろうとか考えなくていいのがこの作品のいいとこだと思う
死ぬ間際に伝えるな
私はまだここの感想をあまり見かけてないのだけど
物語の終盤、宗近が秘めに秘めまくっていた思いを口にしかけ一瞬義輝の胸元に向かい寄り添います
え?と思うかたちです
皆まで言うなという仕草で放されますが
このへん確信を持ってやってると思います
こんな時に兼ねる役者ぶりを発揮する松也である
古典になったら、ここはこういう気持ちでやりなさいと口伝があるかもしれんね
姫に惚れられる展開を、恋愛要素だ、前代未聞だ、のように言われておりますが
そっちは惚れられただけで、こっちのほうがずっと核心ではないんか。
宗近、あんたいけませんよ。冷たくしたのに相手が死ぬ間際にそんな。言われたほうが浮かばれないよ。
(7/17追記 昨日見たときここは少しやり方を変えていたようです。義輝が何かに気づく(よくわかるな…)所をはっきりさせ、また、一幕目にここの三日月の心情を想像させる部分がちょびっと増えました。(追記)
さらばさらば
弾正さんとの別れ。
最近、幕切れの「まずこんにちはこれぎり」はちょくちょく見たのですけど
さらばさらばはお別れのときにしか使えないのであんまり見ていない気がします
そののちに再会があることを知っているさらばもあります。
今回はどっちだろうな
私は今生の別れのさらばだとおもった
出語り(でがたり) (追記)
幕が降りている間の場面転換に長々とつきあわせることのないこの作品の中で、ひとつ、伝統的な、時間を掛けた場面転換があります。
浅葱幕(水色一色の幕です)が降りて
琵琶の人が出てきて弾き語りするところです。ここの琵琶はとても評判が良い。
大きなステージでたった1人での弾き語りがかっこよく、引き締まります。
わざわざの見せ場として取り入れていると思われ、お、ここはそれでいくんかいと逆の驚きがありました。
浅葱幕での転換は大掛かりなセット替えの最中に使われ
最後に幕をパッと落とすと場面ががらっと変わる。
大詰めの立回りの前などが多い気がする。
この間太鼓だけでつなぐこともあり、その場合目を休めるか、ちょっと伸びをする時間になったりしますが、
出語りといって、三味線と唄い手の方が出てきて演奏する場合があります。
この場合は寝てられない(寝るなよ)。
大薩摩節を使うのが常で、ここ自体を大薩摩と呼んでも、ああ、あれね、となる部分なのですが
今回は琵琶で戦記を物語る趣向なので、なんと呼ぶべきか。
“琵琶の大薩摩"には疑問を呈している方を見かけました
大薩摩じゃないもんな
自分は琵琶の出語りと書いてみたけど
イヤホンガイドは何と言ってるんでしょうね
気になってきちゃったので追記しておきます。(以上追記)
押彦武彦
狐火の衣裳を着た、おそらくは狐の眷属の方々
なんでその名前なのか不明
最近新作ではお決まりになりつつある導入役さん
片方がしゃべっていないときは、片方のマイクが切られているので、相方の台詞中に客席に話しかけていたりします。便利だなおい。
客席の位置によっては、説明が始まる前からグリーティングが始まります。ADの前説的な?
それはマイクなしなので、そこに当たらなかった場合は、えー、なにしゃべってはるんやろー、と歯がみするのみであるが、そのへんは時の運なのだろう
カーテンコール
写真と声援あり 最初だから決まりの決め方もわからない感じのおおらかな有りさまである
自分は撮るの好きなんで、写真は歓迎
声もかけてみた。そして掛け声ではなくヒーローショーの声援になっていたことを反省する
(がんばれーと全く同じノリで、おとわやを呼んでいた)
初日が、スタンディングオベーションだったそうで、まいったな、毎日あったらどうしよう…と思ってましたが、そうではなかった。よかった。お約束で立つのは嫌だ。立つかどうかは自分で決めたい。
いけないこと
そういえばねえ、SNSで、あれはいいんでしょうか、これはダメでしょうかの確認がとっても多い。
そこで聞かれないけど、歌舞伎で、間違いなく叱られる、客がやってはいけないことを一つ上げておきます
花道を歩いたりモノを置くこと
これは叱られます。帽子脱いでない、動画とってる、スマホついてた、などは係が気づかないこともありますが、
花道にものを置いたら係員が「おきゃくさまーーー」ってすっ飛んできます。かほどに花道は大切である。あの勢いから見て最大級の禁止行為だと思われる。
拍手
拍手はな、人が死のうが、敵が技を決めようが拍手だ。さすがに死ぬときに「待ってました」とかかけるのはギャクだが(そんな人いないと思うでしょ?たまにおんねん)拍手はたいてい許される。べつにしなくてもいい。しかし我々にできることは拍手しかないのだ。三階さんのとんぼや倒立がきれいに決まったら拍手、独奏のクライマックスが来たら拍手。
やりすぎだが、そういうものなのでたぶん直らない。ほかの流儀と違うかもしれないがあきらめてほしい。
追い出しアナウンス
通常の歌舞伎はお囃子で追い出されるのが常です。幕間のお囃子とは違いこれが最後だよーというのが音でわかるようになってます。そしたら、余韻も何もなくばばっと帰るのだ。役者さんもすぐ帰る。複数演目出るような場合、前の演目の役者さんは、そのころにはお風呂に入ってすでに帰っていると聞く。
今回はそんな高速追い出しではなく、カーテンコールの後、役者さんの日替わりアナウンスです。
浅草歌舞伎では今回押彦さん武彦さんが喋ってるような最初のパートでお年玉と称して役者さんが日替わりで出て話をしてくれてました。それの追い出し版ですかね
なぜかヒュー・ジャックマンを思い出してる人がちらほらいることについては松也くんのファンにお尋ねください
私が見た時のアナウンスは髭切さんでした。さいごまでかわいいな。何種類あるんだろね。
円盤
ナウシカ初演のときの円盤は1年後に出ました。サントラ配信はさらに後でした。
「月光露針路日本」(みなもと太郎の風雲児たちが原作)のブルーレイは、2年かかりました
そして、出ないものは出ない
再演が早いか、円盤が早いか、はたまた再配信か。
なにもないってことは、ないんじゃない? ねえ、松也くん。
配役(公式サイトより)
新作歌舞伎 刀剣乱舞 月刀剣縁桐(つきのつるぎえにしのきりのは)
新橋演舞場 2023年 7月2日(日)初日〜27日(木)千穐楽
公式サイト
https://kabuki-toukenranbu.jp
三日月宗近/尾上松也
足利義輝 小狐丸/尾上右近
松永久直 同田貫正国/中村鷹之資
義輝妹紅梅姫 髭切/中村莟玉
膝丸/上村吉太朗
小烏丸/河合雪之丞
異界の翁/澤村國矢
異界の嫗/市川蔦之助
山口左司馬/大谷龍生
弾正奥方柵/中村歌女之丞
善法寺春清/大谷桂三
松永弾正/中村梅玉
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