FFX歌舞伎を最前じゃない席で見てきました

2023年4月8日歌舞伎

続 FFX歌舞伎でございます。

ネタばれというか演出ばれがあるので、知りたくない人はそっと閉じてください。

とりあえず、最前列は見えないものが多いと言うことが分かりましたので、もうちょい後ろへ行こうということで、2日ほどおかわりで見ました。SS6列上手(通し)、SS8列上手(昼)、S見切れ8列下手(夜)。SSは戻りなのか6列目とか、8列目がぽつんと空いていたのでたまたま取れました。
松竹では売り切れ、空いていると言われるTBSでも席が??な感じで、結局ローチケがいちばんよさげでした。

まず先に、見切れ席の話

見切れ席というのが売られております。「※舞台・映像・演出が一部見えないお席となります。」という席です。
ローソンチケットだけかな。今現在で最後の土日(4/8,9)だけ販売中。(平日は見切れでない席がまだ買えます)

見切れ席ってどのくらい死角があるの?って気になってる人が居ると思うので、その話をします。
私の買ったのは後編S席見切れで、8列のいちばん下手のところでした。(上手だと48番とかその辺になるようです)7列めは、係の人が「A」とか「D」とかの札を置いたり待機したりする場所になっているので、実質8列目が最前列です。

見えないところは、舞台の上の自分の居る側(この場合下手)の端っこです。1人分くらい見えない。上手は後編では竹本とか長唄の床が出るので、もしかすると、それのない下手の方がより舞台上の見えないところがある可能性もあります。代わりに、円周上の道(??)を歩いて引っ込むところなどは近くで見えます。

↑これは見切れではなく中央6列上手から下手側を撮った絵で、FINAL FANTASYの文字よりも左側にこれだけの舞台空間があります。

↓しかしこの、見切れ席から見ると、FINALのFよりも外は見えない(写真が老師なのは趣味の問題)
上の写真のFと手前スクリーンを結んだ線よりも左にあるものは見えないということです。
後編、召喚獣が1体分ほど見えないときがある。きくしろうさーーーーん。あと、ルールーが見えないところがあったな。とにかく大人数出て自分側の端っこに人がいるシーンですね。ただそういうシーンはそんなに多くないです。

 

写真撮影タイムも下手から客席を回るキマリ、シーモアはよく撮れました。ワッカも来てくれた。アーロンは上手重点かな。
SS席の見切れは4列目の端っこが売られてましたけど、後編は通路より後ろによい点があるので、個人的にはS席の見切れ席は悪くなかった。お値段以上。

あ、そうそう、難点としては、回るときに結構音がするし、ガタガタします。乗ってるーって感じがする。絵が動いてるだけなのか、回ってるのかがはっきりするので、かえって気持ち悪くない気がしたけど、真ん中席はそれがわからないくらい静かだったので、差はだいぶありますね。

SS席の話

私の見たある日は、オオアカ屋さんからの「初めての方挙手」に対して、前4列目まではほとんど歌舞伎初めて勢、通路をはさんで5列から8列(自分より前)はほとんどFF未経験勢にきれーーーに分かれておりました。こんなに分かれる?
自分はこの前の最前列は最速抽選で当たったので、多分そういう人たちなのかな。
また、7列目くらいに番頭さんが挨拶に来ていたので、多分ご贔屓様をその辺に配置なのでしょう。私の後ろも親御さんがご高齢で前編で充分というので、後編は東劇でやるかしら?と迷っている親子さんでしたし、前のご夫婦は席でお弁当を普通に召し上がる歌舞伎観劇ムーブでしたし、右の人は双眼鏡スタンバイ(私もスタンバイしてたが(笑))。前後左右を歌舞伎勢に囲まれてなぜか緊張しました。歌舞伎座では同じ状態でもこんな気分にはならないんですが、今回は私が面白いと思ったこの舞台が試されてる感じでびびっちゃった。

席の善し悪しについて言うと、6列は最前列よりぜんぜん世界が把握できる。映像も見える。8列だと、サイドの映像も視界に入る。
いわゆる「とちり」(7,8,9列)はこの演目ではよい席だろうと思いました。
後編は8列見切れ席で見たんだけど、このとき初めてサイドのスクリーンに映る、ユウナ奪還に乗り込む仲間たちの滑走シーン(グリーンバックでの撮影があったよと事前に情報が出ていたところ)が見えたんですよ。6列だとまだもうちょい見えないんだと思う。

あと、多くはないですが前編には通路を両花道的に使う演出があり、左右通路の外側は一瞬花道の外状態になります。
通路内側では上手5,6列目あたりにワッカ、7,8列目あたりにティーダが来ます。お得。(下手の人が贔屓という人もいると思うけど)
写真撮影タイムもよい写真が撮れている気がしますね。

難点としては、8列目のとき、マイクの声が周囲に反射した残響がわずかに聞こえたことかな。反響音が聞こえるポイントってあるんだと思う。(音楽はよく聞こえるなあと思ったんだよね)
あと、ステージ前方の地べた、例えばオオアカ屋が置いた扇は後ろだと見えないですが、それが見える席にはだいぶほかの代償があるので我慢だ。

というわけで。2度目以降の観劇での印象など。

まず、前回(最前列)と比べて見えるようになったもの。ビサイドを出るときの皆の表情などもみられるようになり、これがみんなの書いてたあれかーってやっと把握した。上手で村人が宴を囲む一方で、下手でワッカがティーダをチームへ勧誘するところ(ちょっと違った。ルールー、ワッカ、ティーダで話してから勧誘)も、一応両方が視界に収まるなど、両方見られないんだよ問題が解消。船の上、飛行艇の中もちゃんとそう見えるようになった。
あと、冒頭のエイブスサポーター達や、途中のブリッツボールへの入場のために通路を通る人たちが見えるようになった。普段の歌舞伎では揚幕のチャリンって音に随分助けられてるんですね。なにもないと後方に人が出てきても分からんのや。
それと、さっきも書いたけど、結婚式に乗り込むシーンの前のちょっとした映像が、やっと、やっと見えました。これを見ないと成仏できなかったので見られて満足である。うむ。

あと、異界のチャップの貌が判別できるとか、異界送りのユウナがちゃんと宙に浮かんでいるように見えるとか、重要な演出が享受できたのもよかった。

菊之助が菊五郎に見えることもないし(あれは本当に不思議なのよな。間近での芝居が、うわぁ、菊五郎じゃんって見えたのよ。離れると部分の印象が薄まるのかな。)

まあ、今後自分自身の観劇にこの情報が生かされることは多分ないんですけども、席によって見えるものがだいぶ変わる劇場であったことを自分の中で語り継ぐことにする。あと、席は関係ないけど2、3周目効果としては、話が分かったので、それを聞き流しながら(ぉぃ)幻光河を渡る橋の上でのユウナとキマリとの身振りを見たりもできました。

前半のティーダがシンに巻き込まれるところで、「ジェクトの置き土産だ」というアーロンの台詞。剣のことだと聞こえる。でも2周すると、あの銀色のモンスター(シンのコケラ)も「ジェクトの置き土産だ」というダブルミーニングだとわかる。(ここ、「ジェクトののこした土産だ」でした。もいちど聞いてきたぜ。)

それとは別に芝居も少し変わってきているように思いました。

よかったのはシーモアで、より感情を表してきている。元々しどころではあるけれど、親子で幽閉された場面ではまだ親のことを信じている幼さがより見えるようになって、現在との差が出ていた。また、前編の最後で倒れる前の捨て台詞も悪役らしくたっぷりやっていて、巻き戻してもういっぺんやってほしいくらい。(※「捨て台詞」はそういう意味じゃないよとのご指摘をいただきました。お恥ずかしいところですが、私の無知の記録として残しておきます。怨念の台詞とでも読み替えをお願いします。)
シーモアとアーロンとの競り合いも、より死力を尽くしながらになっていた気がします。

そういえばアーロンが自分の正体をティーダに明かすところなんかも間を充分取っていて、台詞忘れてない?大丈夫?大丈夫?ってなったので、間はそこそこにしておいて欲しい。

ワッカ。汝なにゆえそこにござそうろう。最初に見たときは、もう少し敬語がてんぱってる人っぽい言葉だったと思うんですよ。(覚えてないが)
2回目に見たら、古語は知ってるけど言葉選びが失礼な人になっとった。老師様つかまえて「汝」とか、モア氏内心ピキってなってるかもしれないけど大事の前の小事。

うっしー。かわいらしくなってきた感。少し力が抜けたかな。

ユウナは頬がちょっとこけてきたよ。松也のごはん奪っていいよー。

舞踊ざなるかんどと、墨田の河口付近で何でも屋をやっているらしいオオアカ屋の歌は是非踊り付きで配信してほしい。…そんなところ。

おっさん(すまん)の安定感が沢山ある舞台はいいんですよ。歌舞伎ではそれが見られる。役の見た目と同年齢の若い人たちだけの舞台では、見た目の補正は要らなくても、芝居の面ではどうしても観客が自分で頭で補完しないといけない。ちぐはぐで疲れたり、1日目のカレーみたいな奥行きのなさもある。
おっさ…芸歴の長い方の芝居ではその補完が要らない。見た目? 大丈夫。だんだんそれに見えてくるから。
40代、50代がやる良さ・厚みっていうのは”見たら分かる”んだけど、そこまで連れてくるのが大変でね。FFXはその連れてくるということをここまでやってのけた。えらいもんだ。もちろん、お金と時間をそこまで費やせる人だけを連れて来て、そういう人だから受け取れたという可能性はある。でもなんか、今回はそのチャネル合わせもよかった気がしてるんだよねえ。プラスの興味がある"おとな"が見に来て拡散して、結構しあわせな世界の共有ができたんじゃないかと思います。

あとちょっと。より多くの人に届きますよう。

歌舞伎

Posted by kikuyamaru