ずらした写し絵(エイカーズグランドマスターに寄せて)

2020年12月15日エイカーズ,ハルサーエイカー,ローカルヒーロー

年末年始になると、ふとハルサーエイカーのことを思い出したり…しません?
今年は春先に新作があり、当地神奈川でも夏に放送されました。したいひゃーtvk.
今年のこと、今年のうちに書いておきます。
ネタバレがあります。
関係あるようなないようなことを書きますので、見たくない方はその間に引き返してください。
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子供の頃は写し絵をよくやりました
小さなトレーシングペーパーが文具屋や駄菓子屋に売ってまして
雑誌の絵を写して遊びます
暗くてコントラストの低い絵だとトレペの上からは輪郭が見えないし、切れていて見えない部分もある。その部分は想像で線を引きます。
そういうことをやってました
写したとこだけじょうずにできてる。
継ぎ足したところは自分の絵です。
うーんでもちょっと変だな腕のつき方がおかしいな
書き変える
あれ?身体の向きが合わないか?
書き変える…
変えても変えても全然ちゃんとならない。
どこがダメか自分ではよくわからないのに、不安定な、一部だけ平面的な、ひっくり返ってくるような絵が目の前に残る。
結局全体をかきかえないとだめなんです。
今でもあります。さすがに今は1から描きますが、時間をかけて描いた部分を生かそうとして、周囲を合わせて変えても変えてもどこまでいってもおかしいまま。
結局気に入った部分に手を入れることになる。
つじつまはあってきたようだが、それが描きたい構図だったのかどうかよくわからない。
謎のコラージュ感に見舞われます。
**** 以下ネタバレがあるよ。
さて。
エイカーズの新作です。沖縄以外ではいち早く神奈川で放送。
すばらしぃ。夜中だけど。
かつて。このシリーズは
人は同じだけどスーツやキャラの見栄えが激しく違うという映画を作っちゃった実績があります
あれはあれで大変衝撃的だったんですが、
今作は、
おそらく同じ世界の中で
こんどは映画の見栄えを維持しつつ
時代をずらし、場所をずらし、視点をずらし
さらには
あのカマーじゃないカマー
あのヘラーじゃないヘラー
という話を打ち出してきました
マブヤー方式と言えるかもしれない
世間をみまわしますと、
元ネタのフォーマットと世界と仕掛けを借りて、キャラクター紹介なり、絵巻物なり、エピソードのつまみ食いなりを繰り広げる作品がたくさんあります。
作品単体としてのストーリーは深掘りされずちゃんと完結しないままになったりします。
今作も、そのきらいはややあると思う。
#個人的意見ですけどね
しかしエイカーズとはどんな世界であるか、何が許されるのかの間口をぐっと拡げてきました。
なんでもいいよーというための布石であるとはいえる。
カマーとヘラーはどうやって出会ったんだ?
それは見たいなと思ってました
が、
いや別に、この組み合わせで見たかったわけじゃないなあって思う
でも、ノーグはこんなして産まれたんだなーって、疑似体験はできましたね。
エイカーとは血筋か、資質なのか、修行や経験なのか
この話ではとりあえず資質だと言ってますね。
プラス、経験と条件で力がそなわる。
カンジャーエイカーは、前作でもそうでしたが、割と修業でどうにかする部分が多いのかなあと思います。技が要るんだ。
ハルサーエイカーは?
1作目、経験は浅いもののなんの疑いもなくハルサーエイカーであったアイ。しかし、あまりにも重い使命があることを思い知らされます。それは降ってきたような災いである。
一方で、2作め、ハルサーエイカーになることをはっきり志さなければ、ハルサーエイカーになれなかったハル。ハルは自分の為すべくことがそこにあることを認め、試練を越えてハルサーエイカーになる。
ヤンバルは全世界のサンタクロースの本拠地みたいなやつなのかなんなのかわかりませんが、田畑の家ははっきり自分たちはハルサーエイカーの末裔だと思ってるっぽく(代々クワーを守ってるくらいですからね)、異世界のような環境にあります。
一方、今作のユウは、ハルサーエイカーとは何者かを知らない。
農家をやるってことを決めただけです。普通の家なんだよね。
ただ、おかあさんは、ハルサーエイカーの存在を信じていて、こどものころに会った経緯がある。
もう何代も出ていないのかもしれないけど、一応儀式として、みえるひとにみてもらうんですね。
「あんた、ハルサーエイカーだね」
ってのは
たまに霊力の強い子が生まれたりするアレでしょう。
お母さん的には、大変だ、ハルサーエイカーが生まれちゃった。お支度をしなきゃー。みたいな感じになってる。
ハルサーエイカーだからなんなのか。有事…ではないときにハルサーエイカーって何やるんだろう?って疑問なんだけど。
映画によれば、畑のユタみたいなことをやるととらえられてるらしく、それが日常時のハルサーエイカーの仕事なのかもね。アイちゃんのおじいもきっとそんなことをやってたのよね。
で、お道具がいるということなんだね。
魔法使いは杖を選ぶ。サムライなら刀。沖縄のハルサーなら、ヘラとカマ?
かくして、新しい鎌が生まれた。
歌郎の反抗的態度に感じるのはシンゴカマーの示唆する(チリーの鏡像のような)好戦的な鋭さよりも、
馴らされていない仔犬みたいな甘さ、こどもさです。
この鎌大丈夫なんか、きれるのか?
ちょっと心配ではある。
対して、まさにおとぎ話のような敵が現れる。
だって別に、ドブチリはとくに何もしようとしてませんからね。。
祖やZO(ぞ)には具体的手段があったが、その眷属であったサマリタンたちは、ただ、人間憎しで動いていたのかもしれない。
彼らだけが残ったら、人間をたっぴらかす!という思いしか残らず、
じゃあどうやってたっぴらかすんだよ?っていうのが全然わからない。
ユウにも何かが降りかかるわけじゃないので特に何をしたいのかわからない。
なんかすごくふんわりしてしまった。
前作にあったような連続ものとしての面白さがあんまりなかったなあって思っています。
あ、元祖ヘラーとカマー。これは世界線をつなぐための便宜であろうと思います。
おかあさん(サツキ)も同じですね。
いわゆるご馳走の類いと思ってます。
この作品は次にコマを進めたというよりは、次に跳ぶためのなぞり方の練習のような気がするんですよね。
辻褄を合わせてみた。考察をしてみた。
世界の説明をしてみた。
しかし、結局、書き直さなければダメなんだ。
そのための習作
「次はハルサー ユウに新しい物語を。」
それが私がこのお話を見た感想です。
ちなみに、私が今作でいちばん好きなのは
食い逃げして、にこにこしながらずーっと逃げてる、別の世界のカマーです。
いいよねえ、あのカマー。きっと味わからんのに。ねえ。